シングルアイには中高帯域の倍音の増加が見られ、ブリリアントな音になっている。また人の耳が最も敏感な帯域(3〜5KHz付近)での倍音の増量で、遠くまで聞こえやすい音になっている。
変化量は倍音により約6〜10dB(約3倍)以上になり、聴衆や演奏者にわかりやすく大きな差である。6dB(約2倍)の量は、例えるなら一般的なオーディオプリアンプのトーン調整の最大量で、それ以上の差であるわけだから普通の人がわかるレベルである。実際収録時も同様に差を感じられ、録音したデータの再生でも差は十分に感じることが出来た。
計測者、坂田吾朗氏の意見:
私はチェロにあまり詳しくないのでチェロのエンドピンは楽器を支えるもので楽器の音色に影響を与えるとは考えてもみなかったが、今回エンドピンの違いによるチェロ演奏音を測定分析してみると、その音質の差は予想以上に大きく重要であることがわかった。 中高帯域は人が最も感知しやすい帯域で、音が遠くまで届く効果、音色を目立った音にする効果があり、高域は音をブリリアントに、またはっきりとした音にする効果がある。 楽器の音の絶対的な良し悪しの判断は難しいが、オーディオ性能として捉えるとわかりやすいだろう。中高帯域の音量アップが著しい。 チェロのパーツ交換による音質改善を考える場合、エンドピンの交換はもっとも手軽で効果的な手段と言えそうである。
坂田吾朗氏について: 電子楽器の信号処理アルゴリズムの開発から音色の作成を行い、そのアプリケーション開発を専門としている。 オーディオ用DAコンバーター等を含む国内特許41件以上、海外特許17件以上を発明。